不動産会社の“印象”で選ばれる時代へ──ブランディングの基本と成功の秘訣
- 陽一 橘
- 4月9日
- 読了時間: 11分
更新日:1 日前

はじめに|「どんな会社か」が問われる時代に、まず取り組むべきこととは?
「ブランディングって言葉はよく聞くけど、何から始めたらいいか分からない」そんな不動産会社の経営者やご担当者の声を、私たちは日々の現場で多く耳にします。
かつては、物件力や営業力さえあれば入居者が自然に集まる時代でした。しかし現在、不動産業界は大きな転換期を迎えています。
ポータルサイトで物件情報が“横並び”に見られるようになった
入居者のニーズが「価格・広さ」から「ライフスタイル・価値観重視」へと変化
少子高齢化・人口減少により競争が激化
こうした背景の中で、いま入居者やオーナー、求職者が注目しているのは、「どんな会社が提供しているのか?」という“企業そのものの印象”です。
🧭 いま求められているのは、「物件で選ばれる」から「会社で選ばれる」へのシフト
もはや「良い物件を出していれば売れる」時代は終わり、「この会社なら安心できそう」「雰囲気がいい」「信頼できそう」といった、企業そのものの“印象”が選ばれる理由になっています。
本記事では、そんな時代に必要な「不動産会社のブランディング」について、以下のようなステップでわかりやすく解説していきます👇
✔ ブランディングの定義と本質
✔ 不動産業界におけるブランディングの必要性
✔ 社名やロゴが与える印象の大きさ
✔ 成功に欠かせないターゲット設定の考え方
✔ クラスコの実践事例
✔ 今日から始められる“最初の一歩”
自社の魅力や想いが「うまく伝わっていないかもしれない」と感じている方にとって、実践につながるヒントが詰まった内容になっています。ぜひ最後までご覧ください。
ブランディングとは何か?
──「何者か」を明確に伝える力
「ブランディング=ロゴを変えること」と思われがちですが、実際はそれだけではありません。
ブランディングとは、企業やサービスが“何者か”を明確に伝え、相手に印象づける取り組みのことです。
✅ ブランドの本質は「内面の明確化と一貫した発信」
単なる“見た目のリニューアル”ではなく、以下のような内面的な要素を外部に伝える仕組みづくりこそが、ブランディングの本質です。
本質的に問うべきこと | 具体例 |
何を大切にしている会社か? | 「地域のつながりを重視」「社員と共に成長する」など |
誰に価値を届けたいのか? | 単身者・子育て世帯・投資家・オーナーなど |
どんな印象を持ってほしいか? | 信頼感・親しみ・専門性・誠実さ など |
💡 「ブランド体験」はあらゆる接点に存在する
ブランディングはロゴやキャッチコピーに留まらず、顧客が接するすべての体験がブランドを形づくる要素になります。
タッチポイント | ブランドとしての役割 |
ロゴ・社名 | 第一印象を左右する“顔” |
名刺・パンフレット | 会社の“雰囲気”を届けるツール |
ホームページ・SNS | メッセージと世界観を伝える窓口 |
店舗・接客対応 | ブランドの“人格”を体験する場 |
🏘 不動産業界における“らしさ”の違い
同じ不動産会社でも、目指す方向によってブランドは大きく異なります。
地元密着で親しみやすい雰囲気を重視する会社
提案力とスピードで勝負する都市型不動産会社
管理体制の安心感を前面に出す不動産管理会社
いずれも正解。だからこそ、自社がどの立ち位置で、誰にどう見られたいのかを明確にすることが、成功の第一歩なのです。
ブランディングの力は、価格や物件力だけに頼らず、「この会社にお願いしたい」と思わせる“感情的な信頼”を生み出すことにあります。
そしてそれは、結果的に次のような企業資産の向上にもつながります👇
✅ 顧客からのリピートや紹介
✅ 求職者からの共感・採用力の向上
✅ 社員のモチベーション・誇りの強化
不動産業界におけるブランディングの必要性とは?
──“物件”だけでは選ばれない時代に
現在、日本には12万社以上の不動産会社が存在しています(2023年時点)。
また、SUUMOやHOME’Sといったポータルサイトでは、物件情報が横並びに表示され、「誰が提供しているか」が見えづらいのが現実です。
🌀 変化する市場環境が「会社の印象」を重視する時代へ
業界の現状 | 課題 | ブランディングの役割 |
ポータル依存の集客 | 情報が均質化し、差別化が困難に | “会社の信頼感”が選ばれる理由に変わる |
少子高齢化・人口減少 | 顧客数が減少し、獲得競争が激化 | 明確な価値訴求が必要不可欠に |
顧客ニーズの細分化 | 一律の物件・訴求では響かない | ペルソナごとにブランド設計が必要に |
特に近年は、以下のようなライフスタイル重視のニーズが急増しています。
ペットと暮らせる環境
テレワーク対応設備
子育てしやすい周辺環境
シェアハウスや趣味特化型の暮らし方
こうしたニーズに対し、ただ物件を紹介するだけでは届きません。「その価値を理解している会社」として見られることが、ブランディングの力なのです。
🧭 今、不動産会社に求められている“信頼の3要素”
要素 | 具体例 | ブランド戦略での表現方法 |
安心感 | 顧客の不安を払拭できる体制・対応力 | 顔の見える担当者・丁寧なSNS運用など |
地域性 | 地元との関係性・歴史・貢献 | 地域イベント参加・地元情報の発信 |
一貫性 | ビジュアル・言葉・体験の統一感 | ロゴ・Web・パンフ・接客トーンの統一 |
「チラシを出せば反響が来る」時代から、「この会社に任せたい」と思わせる理由をつくる時代へ。
ブランディングとは、単に目立つための装飾ではなく、「どこにでもある会社」から、「選ばれる会社」へと進化するための戦略です。
社名やロゴが与える印象は想像以上に大きい
──「はじめまして」の瞬間に差がつくブランド力
ブランディングの中でも、「社名」や「ロゴ」は企業の“顔”としての役割を果たします。
顧客がその会社に初めて触れる瞬間──
通りすがりの店舗看板
ポータルサイトに表示された会社名
名刺交換のタイミング
SNSやWebページのロゴや配色
これらはすべて、「第一印象」=信頼の入り口です。
💡 第一印象の影響力は、想像以上に大きい
心理学では「初頭効果」と呼ばれるように、人は最初の印象によってその後の評価を大きく左右します。不動産という高額な商品・長期的な付き合いが前提の業界において、**「この会社、大丈夫かな?」「ちょっと古そう…」**という印象は、致命的な離脱につながりかねません。
✅ 社名・ロゴによる印象の違い(事例比較)
例 | 見た印象 | 顧客の受け取り方 |
❌ 昭和風の長い社名/古い書体 | 時代遅れ・堅苦しい・不安感 | 「古そうな会社、大丈夫?」 |
✅ シンプルで洗練されたロゴ/短く覚えやすい社名 | モダン・信頼感・印象に残る | 「センスもあるし安心できそう」 |
🔗 タッチポイント全体で“統一感”を持たせることが重要
ロゴや社名だけでなく、顧客と接するすべての情報発信に一貫性があるかどうかが、ブランディング成功の鍵です。
タッチポイント | チェックすべき点 |
ホームページ | ロゴ・色使い・文章のトーンが統一されているか |
SNS(プロフィール・投稿画像) | 投稿ごとの世界観がバラついていないか |
店舗看板・パンフレット | オフラインの印象がWebと一致しているか |
名刺・営業資料 | ロゴや書体がブランドイメージに合っているか |
「せっかく良いロゴをつくっても、ホームページは古いまま」「SNSではスタッフの個性が強く出すぎて、会社のイメージとズレている」
そんな状態では、“らしさ”は伝わらず、逆に信頼を損なう結果になってしまいます。
つまり、社名やロゴは単なるデザイン要素ではなく、“信頼の土台”を築くための戦略的ツールであるという意識が、不動産会社にもますます必要とされているのです。
成功するブランディングに欠かせない「ターゲット設定」
──“誰に届けるか”でデザインも言葉も変わる
どれだけ魅力的なブランドを設計しても、誰に向けたものなのかが曖昧では、響きません。
ブランディング成功の鍵は、「誰に選ばれたいのか?」を明確にし、そのターゲットに合わせた見せ方・伝え方を設計することにあります。
🧭 不動産会社が向き合う3つの主要ターゲット
ターゲット | 関係性 | ブランディングで意識すべきこと |
入居者 | 物件を選ぶ顧客 | 信頼感・暮らしのイメージ・安心できる雰囲気 |
オーナー | 管理や運用を依頼する顧客 | 経営感覚・提案力・堅実さ・安心感 |
求職者 | 一緒に働く可能性のある人材 | ビジョンの共感・カルチャー・成長環境の提示 |
🎨 ターゲットによって“好まれるデザインや印象”は異なる
ターゲット | 好まれる印象・トーン | 表現の方向性 |
若年層(20〜30代) | モダン・ポップ・親しみやすさ | 動きのあるロゴ、柔らかい色味、キャッチーなコピー |
ファミリー層 | 安心感・やさしさ・地域とのつながり | 落ち着いたトーン、写真多め、地域紹介コンテンツ |
オーナー | 誠実さ・信頼感・知的さ | スタイリッシュなデザイン、実績やデータ重視 |
求職者 | 働く楽しさ・ビジョンの共感 | 社員の顔が見える発信、社内カルチャー紹介 |
たとえば、入居者向けSNSで「オーナー向け資産運用セミナー」を告知しても響きません。同様に、オーナー向け提案書がポップすぎても不安を与えてしまいます。
ターゲットごとに、「共感を得やすいデザイン」「信頼につながる言葉」が異なることを意識し、チャンネルごとにメッセージを最適化することが必要です。
ブランディングとは、「全員に伝える」ではなく、「この人に届けたい」を明確にすることから始まるのです。
クラスコの事例に学ぶブランディング

──社名変更から始まった、印象改革と
企業成長のストーリー
クラスコも、かつては「タカラ不動産」という社名で地域に根ざした営業を行っていました。しかし、業界環境の変化とともに、次のような課題を感じるようになっていました。
旧社名では“古い不動産会社”という印象を持たれやすい
若年層や求職者に、企業のイメージが伝わりにくい
ブランドの世界観が発信ツールごとにバラついていた
そこで、企業の印象そのものを再設計するために、ブランディングプロジェクトを始動。以下のような段階的な取り組みを進めました。
✅ ブランディング再設計のステップ
ステップ | 実施内容 | 目的・効果 |
① 社名変更 | 「タカラ不動産」→「CRASCO」へ | モダンな印象、覚えやすさ、展開性を強化 |
② ロゴ刷新 | シンプル・スタイリッシュな新ロゴへ | 視認性と印象度を両立 |
③ MVV再設計 | ミッション・ビジョン・バリューを再定義 | 社員の共通指針・採用の基軸に |
④ 各種ツール統一 | 名刺/Webサイト/パンフレット/店舗内装まで統一 | 一貫性あるブランド体験を実現 |
⑤ SNS発信の強化 | ブランドトーンに沿った情報発信へ転換 | 顧客・求職者からの共感を獲得 |
結果として、入居者・オーナー・求職者それぞれから「印象が変わった」「信頼できそう」との声が増加。採用活動では企業説明会での反応が劇的に改善され、応募者の質と数が大幅に向上しました。
💬 ブランディングは、見た目だけで終わらない
ロゴを変えたから成功したのではありません。“会社の想い”を明確にし、それを一貫して発信し続けたことが、選ばれる会社になる原動力になったのです。
今日から始められるブランディングの第一歩
──“完璧”よりも、“統一”から始めよう
ブランディングは、決して一夜で完成するものではありません。しかし、**「まずは何から手をつければいいか分からない」**という方にこそ、知ってほしいのは──
“統一感”を持たせることが、最も効果的な第一歩になるということです。
✅ まず見直したいチェックポイント
チェック項目 | 見直しのポイント |
ロゴ・配色・書体 | すべての媒体で統一されているか?(Web・名刺・SNSなど) |
キャッチコピーやメッセージ | ターゲットに一貫して届く言葉になっているか? |
社員の言葉づかいや接客 | ブランドイメージに合ったトーンで対応できているか? |
SNSやブログの投稿内容 | 発信に“会社らしさ”がにじんでいるか? |
たとえデザインが洗練されていなくても、「統一されている」ことが、安心感と信頼感を生み出します。
🛠 クラスコは「現場から浸透するブランディング支援」を行っています
「ブランディング会社に頼んだが、社内に浸透しなかった」「ロゴはおしゃれになったけど、社員はピンときていない」──そんな声に応えるべく、私たちクラスコは、不動産会社としての実体験をベースに、現実的なブランディング支援を行っています。
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